糖尿病には、1型糖尿病と2型糖尿病が存在しますが、トクホ・機能性食品のターゲットとなるのは2型糖尿病とその予備軍です。
2型糖尿病は、遺伝素因に、過食、運動不足、肥満などの環境因子が加わり、インスリン抵抗性やインスリン分泌不全により発症する疾患です。
血糖関連の臨床試験においては、単に血糖値のみを測定するのではなく、インスリン抵抗性やインスリン分泌量をも評価することにより、より詳細かつ説得力のある臨床データを取得することが重要です。
ヘモグロビンの糖化産物であり、過去1~2ヶ月の平均血糖値を反映します。注意すべき点として、赤血球寿命との関連があり、出血時や鉄欠乏性貧血の回復期、肝硬変などの溶血性疾患にて、本来の値より見かけ上低値となることなどが挙げられます。
基準値:4.3~5.8 %
過去約2週間の平均血糖値の指標となります。注意すべき点として、ネフローゼ症候群などのように、体外に蛋白質が失われ、血漿蛋白質の半減期が短くなる病態にて見かけ上低値を示すことが挙げられます。
基準値 グリコアルブミン:11~16%, フルクトサミン:210~290 μmol/L
1,5-AGは腎尿細管にてその99%が再吸収されます。高血糖状態ではその吸収が阻害されることから、血中濃度が低下します。つまり、糖代謝状態が悪化すると低値を示します。
基準値:14.0 μg/dL以上
膵β細胞からのインスリン分泌には、空腹時の基礎インスリン分泌と食後の追加分泌があります。食品開発のターゲットとなる2型糖尿病及びその予備軍では主に追加分泌が遅延・低下しています。
75gOGTTを施行し、負荷後30分の血中インスリン増加量を、血糖値の増加量で除した値であり、食後のインスリン追加分泌の初期分泌能の指標となります。
空腹時の血中Cペプチド値や24時間尿中Cペプチド排出量もインスリン分泌能の指標となります。
空腹時の血中Cペプチド値:0.5 ng/ml以下 または24時間尿中Cペプチド排出量:20 μg/日以下
→ インスリン依存状態
(空腹時インスリン値(μU/mL)x360) ÷ (空腹時血糖値(mg/dL)-63) にて計算され、インスリン分泌能の指標となります。30%以下の場合、インスリン分泌低下があるとされます。
インスリン抵抗性とは、血中インスリン濃度に見合ったインスリン作用が得られていない状態を指します。その病態として、インスリン受容体への作用不全や受容体から下流の細胞内情報伝達の異常が挙げられます。
早朝空腹時の血中インスリン値と空腹時血糖値から算出され、インスリン抵抗性の簡便な指標として臨床上よく使用されます。空腹時血糖値140 mg/dL以下の場合に、クランプ法により求めたインスリン抵抗性とよく相関します。
早朝空腹時の血中インスリン値が15μU/mL以上を示す場合は、明らかなインスリン抵抗性の存在が考えられます。
正常値: 2~10 μU/mL
2型糖尿病やその予備軍では、インスリン追加分泌の遅延がある場合が多く、負荷後30分でのインスリンインデックスは低下していても、60分後や120分後までのインスリン分泌量は高値となることが多く、インスリン抵抗性の目安となります。
監修:大阪大学名誉教授 川野淳先生
文責:総医研クリニック 西谷真人